Vestfrost Solutions

毎日ロボットが40kmを搬送することで、Vestfrost Solutionsでは作業環境の健全度が増し、ボトルネックが減少しています

デンマークのエスビャウを拠点とする企業であるVestfrost Solutionsでは、従業員を悩ませていた騒音の大きいフォークリフトの往来の問題がなくなり、今では部門間で重いカートを手で押す必要がありません。現在、3台のMiRモバイルロボットが家電工場を目立つことなく巡回し、40のワークステーションの間で原材料、部品、廃棄物を積載した80のカートを牽引して運んでいます。これにより、生産部門の在庫が尽きる前に物品を入手できるようになり、施設でのフローが大幅に改善されています。このため、新型コロナウィルスの感染拡大中にワクチン保存用冷凍庫などの製品のサプライヤーとして、フル稼働していた同社にとって、ロボット技術は大きく貢献しています。

ソリューション

デンマークのように賃金が高い国で家電製品を製造し、世界中の企業顧客にそれらを販売することは、まさに一種の「芸術」であり、最適化のための緻密な感覚が求められます。このため、Vestfrost Solutionsは自動化を最優先事項に位置付けており、経営陣は新しい技術で同社のプロセスを最適化させることを念頭に、対象を絞って投資しています。デンマーク・オーデンセのMiRが提供する3台のモバイルロボットが現在、エスビャウを拠点とする同社の工場でその目的どおりに活躍しています。

屋内搬送の自動化により、生産部門でのフローが大きく改善されました。まず、倉庫マネージャーは生産担当のスタッフと共に、どの物品がいつ、どこで必要になるのかを判断しました。当社の倉庫従業員は現在、MiRロボット用のカートに、当日と翌日の製造に必要な様々なコンポーネントや部品をすべて適時に梱包しており、常に物品を適切なタイミングと場所で入手できます。スタッフは画面のボタンを押すだけで、すぐに必要な物品の配送を注文でき、ロボットがそれを自動的に届けてくれます。当社のロボットが一回に走行する距離は最長で500m近くになり、これを合計すると、ロボットは毎日非常に長い距離を移動しています - Vestfrost Solutionsの製品マネージャーであるJens Gadgaard氏は、このように述べています。

カートとレイアウトの再利用

ロボットを導入する以前、Vestfrost Solutionsにおける屋内搬送はその場で対応する傾向が強く、従業員は組み立てと製造のタスクを中止し、部品やコンポーネントを回収するためにピッキングセンターまで歩いて行く必要がありました。

現在、80のカートがエスビャウの家電工場でほぼ常時循環して稼働し、40のワークステーション間を行き来しています。一部はMiRHookを搭載するロボットでトレーラーとして牽引され、それ以外はロボットがカートの下に移動して「背負う」形で取り付けられています。カートのほとんどは、Vestfrost Solutionsのスタッフが以前に手作業の搬送タスクで使用していたものと同じです。これらには、MiRロボットがスキャンできるQRコードがシンプルに貼り付けられています。また、工場のレイアウトもほぼ同じままです。

フォークリフトのオペレーターにロボットの接近を警告するための警告灯と音声アラートが設置されています。MiRロボットは周囲環境をスキャンして自動的に停止し、障害物、他の車両、人を回避することができますが、大体の場合、フォークリフトはオペレーターの死角に隠れた小型で背の低いロボットを轢いてしまう可能性があります。そのため、これらの信号はフォークリフトのオペレーターにさらなる安全性とセキュリティを提供します。

当社の競争力は、製品の品質と運用上の信頼性に由来しています。グローバルな舞台で競合他社と競うためには、さらなる自動化が必要となり、生産設備において自動化できる可能性が高い箇所は、他にも多数存在します

Jens Gadgaard

Vestfrost Solutions、プロジェクトマネージャー

ロボットへの投資を2年で回収

新しい技術は常に仕事の方法と、仕事そのものを変化させます。しかし、ロボットを導入する目的は人材を置き換えることではないと、スタッフに安心させることがVestfrost Solutionsにとって不可欠でした。その代わりにロボットは、重量物を取り扱う反復的な作業を担当することでスタッフを支援し、より複雑な仕事に時間を費やせるようにします。このため、Jens Gadgaard氏は同僚に対して、プロジェクトの目的は従業員が製品に実際に付加価値をもたらすタスクに、より多くの時間とエネルギーを費やせるようにすることであると、明確に伝えることに努めました。

以前は、工場全体で1日あたり40kmを行き来しなければならなかったため、多くの時間を無駄にしていたことは間違いありません。現在では、これはすべて過去の話となり、生産部門の生産性と収益性に大きな違いがもたらされています。つまり、MiRロボットに対する投資は、素早く回収することができます。実際、投資回収期間は2年ほどです - Jens Gadgaard氏は、このように断言しています。

経験を踏まえると、ロボットの統合を成功させるには、技術だけでなく人も重要だということがわかります。ロボットと一緒に働く従業員からの質問や懸念、良質な提案に耳を傾けることが不可欠です。

当社が実践した賢明な行動の1つは、経験豊富な生産のスペシャリストを1名関わらせることでした。彼は当初、非常に猜疑的でしたが、今では自動化の魅力にとりつかれており、改善のためのアイデアを次々と出してくれるので、私たちは喜んでそれらを実行しています - Jens Gadgaard氏は、このように付け加えています。

この観点では、Vestfrost SolutionsがMiRロボットを自社でプログラミングし直せることは大きなメリットとなります。ロボットの実際の設置は、Baytechと緊密に話し合いながら行われました。

より健康的かつ安全で、より楽しい労働環境

デンマークの輸出品生産が世界市場で競争力を持つためには、高度な自動化が必要となります。ロボットを補助的に使用することによる副次的なメリットは、その年齢に関わらず、スタッフにとって職場がさらに魅力的になるということです。Vestfrost Solutionsが経験したように、これは工業分野で労働力不足がますます深刻化している時代において、重要となります。

必要な人材を惹きつけ、確保するためには、懸命な取り組みが必要です。そして、ロボットはこうした状況に役立ちます。この技術は労働条件を改善し、より魅力的な仕事への入り口となり、若いスタッフのモチベーションを高めるため、人材が当社で働くことに興味を持っています - Jens Gadgaard氏は、こう述べています。

概してJens氏は、モバイルロボットの導入により工場の作業環境が大きく変化したことを嬉しく思っています。

私が3年前に入社した時、屋内の交通量は非常に多く、騒音を立てるトラックが入り乱れ、従業員は最大200kgのカートを手で押していました。こうした状況は、今ではかなり落ち着いています - プロジェクトマネージャーであるJens氏は、このように強調しています。

ワクチンの保管に不可欠な製品品質

Vestfrost Solutionsは製薬業界や食品業界のほか、小売業界やレストラン業界に向けて、幅広い業務用冷蔵庫および冷凍庫を製造しています。新型コロナウイルスの感染拡大中、高信頼性の冷凍庫に対する需要が急増し、エスビャウに位置する同社は忙しい時期を送りました。Vestfrost Solutionsの製造技術部門では、Jens Gadgaard氏と彼の同僚がすでに、さらなるロボットプロジェクトに着手しています。

当社の競争力は、製品の品質と運用上の信頼性に由来しています。グローバルな舞台で競合他社と競うためには、さらなる自動化が必要となり、生産設備において自動化できる可能性が高い箇所は、他にも多数存在します。例えば、当社は部品や製品の品質保証の自動化などに重点を置いた、いくつかの開発プロジェクトに取り組んでいます。また、棚から直接部品をピッキングできる、倉庫機械も検討しています。当社の500種類の製品に対応する、10,000個以上の部品を保管するこのピッキング倉庫では、多くの時間を節約できます - Jens Gadgaard氏は、こう述べています。

パレット搬送を含めたロボットフリートの拡張

Vestfrost Solutionsのロボットフリートには、近々2台のMiRロボットが追加される予定です。

私たちはまだフォークリフトを使用してパレットを搬送していますが、これもモバイルロボットを通じて自動化される予定であり、現在使用している機械よりも積載能力の高いモデルを導入します。また、牽引フックを持つMiRロボットを追加する必要もあります。これは、現在あるMiRHookを搭載したロボットが、多数の牽引用カートを抱えているためです。ここでもMiRロボットをもう一度選択する予定です。一度MiRロボット1台に投資すると、新しいシステムを導入するのは複雑すぎるからです - Jens Gadgaard氏は、こう結論付けています。

Vestfrostは1963年に創立されました。それ以来、同社は1,800万台以上の家電製品を製造しています。