Eaton
ルーマニア西部のアラドにあるEatonの工場では、人命保護用品を製造しています。同工場では、4台のMiR自律型移動ロボットを導入しています。それらのロボットは、組立ラインへ部品を搬送した後、完成品をピックアップします。さらに、同社は新しいSMT(表面実装技術)拠点において、搬送を担う別の機械、MiR250を導入することを計画しています。AMRにより、プロセスを最適化でき、従業員はより価値の高い作業に集中しながら、能力を開発することができます。
問題とソリューション
Eatonの工場は、主に人員不足の解決策を模索していました。さらに、部品と製品の搬送では、費用と従業員の時間を最適化する余地がありました。AMRの導入前、部品を組立ラインへ搬送して完成品を回収するプロセスは、従業員によって行われていました。従業員は、その作業のために手動のフォークリフトを主に使用していました。管理者は従業員の負担を軽減し、複雑な組み立てなど、より付加価値の高い作業に彼らを従事させたいと考えていました。
アラドにあるEatonは、こうした問題を解決するアイデアを模索し始めました。様々なソリューションの機能を検討し、サプライヤーに問い合わせた後、同社は2つのモデルのモバイルロボットを選択しました。まず、2019年にEatonは、200kgの積載物を搬送し、最大速度4km/時で移動できる2台のMiR200モデルを導入しました。2022年の時点で、同施設には、500kgの重量物を搬送し、7.2km/時に達する2台のMiR500も追加されています。同社は、パラメーター制御された新しいSMT拠点の環境で製品の配送と収集を担う別の機械、MiR250も所有しています。Eatonは安全性と自律運転要件を考慮し、MiRを選択しました。
屋内ロジスティクスの最適化
アラドにある同施設は、Eatonの工場として初めて産業用自律型移動ロボットを導入しました。人命保護部門エンジニアリングマネージャー、Bogdan Brindas氏によると、特に衝突のない稼働、そして現在の状況に合わせてロボットの速度を調整できる機能においては、安全性が重要となります。
Bogdan Brindas氏は次のように述べています。「エンジニアリングにおける私の観点から見ても、自律運転は不可欠です。この機能があるおかげで、運転中にロボットを制御する必要がありません。AMRは任務に合わせて自律的に移動できます。作業の観点では、AMRは1つのパレットで何層もの製品を運ぶことができるため、積載量が重要となります。また、使いやすさも不可欠であり、これによって専門家が常に待機する必要がなくなります」
現在ロボットを扱っている作業員は、作業が改善されたことを実感しています。
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MiRロボットの導入後、工場における製品の取り扱いや移動に伴う作業負荷が減少しました。ロボットと共に作業することは容易であり、今では組み立てプロセスや業務の管理により多くの時間を費やしています。また、専門的な能力開発のための時間も増えました。MiRロボットのおかげで、業務効率と作業品質が向上しました。
MiR AMRの導入では、既存の作業環境に対して、レールの設置といった変更を加える必要がありません
1日あたり40kmの節約
ロボットの日常的なルートのデータは、改善の範囲を最もよく示しています。Eatonの工場においてMiRのAMRは週6日稼働し、2つのシフトで運用されています。MiR500は毎日100以上のパレットを運搬し、各任務で120~150mを移動しており、その移動距離は12~15kmに及びます。一方、MiR200は約150の任務をこなし、25kmの距離を移動します。以前は、人が同じ37~40kmの距離を移動しなければなりませんでした。
AMRは、合計45のラインと多数のカンバン方式の箇所で稼働しています。ロボットは、RFIDボタンを押した従業員からの信号を受け取ると、任務を開始します。MiR500ロボットは、ラックに近付くとパレットをピックアップし、ドッキングステーションに運びます。MiR200の場合、まずラインフィーダーが不足している材料に関する情報を提供します。倉庫のオペレーターはラックから材料を取り出し、MiR200へ積み込み、任務の1つを選択します。ロボットは到着を音声で通知し、ラインフィーダーが積載物をピックアップして、AMRは充電ドックに戻ります。
ロボットを導入する前、Eatonは標準化された通路にピックアップ場所を設置し、ロボットはそこから完成品のパレットを受け取っていました。同社は、機械をラックやソフトウェアと統合するとともに、ネットワーク信号を強化して、AMRとの接続を簡素化しました。
Bogdan Brindas氏は、次のように述べています。「ドッキングステーションの各ラックには存在センサーが付いています。このセンサーの役割は、ロボットがパレットを配置できるように、その場所が空いているかどうかをAMRロボットに伝えることです。元の位置に戻ったAMRは、空いている位置をスキャンします。特定の位置が空いていない場合は、ロボットがそれを検出し、そこにはパレットを配置しません」
Eatonについて
Eatonは、高信頼性、高効率、安全なエネルギー管理技術を通じて、人々の生活と環境の改善に取り組んでいます。同社は、その他の製品の中でも、安全性、セキュリティ、緊急通信の分野の製品を製造しています。その他の事業分野には、制御、ドライブ技術、産業自動化、サーバーラックなどがあります。同社の歴史は1911年にまで遡ります。現在、Eatonは175か国で事業を展開し、50以上の工場を有しており、その従業員数は世界中で85,000名以上に及びます。