DeWalt Industrial Tools
単なるAMRにとどまらないMiR200はモバイルワークベンチとなり、Dewalt Industrial Toolsで既成概念にとらわれないイノベーションを実現
イタリア・ペルージャにあるDeWalt Industrial Toolsの施設では、木材切断用の電動工具と解体ハンマーという、ブランドの2大ファミリー製品が製造されています。同社は、後者のラインで2台のMiR200自律型移動ロボットを導入し、ラインをモバイルワークステーションを備えた真の組立セルに転換することを決定しました。
問題とソリューション
Stanley Black & Deckerグループに属するDeWalt Industrial Toolsは、業務用電動工具分野のリーディングカンパニーです。ペルージャ郊外にあるコルチャーノの施設では、15,000平方メートルの敷地で250名の従業員を雇用し、木材切断用の電動工具と解体ハンマーという、ブランドの2大ファミリー製品が製造されています。
この施設の内部プロセスは、最終組み立てだけでなく、機械の戦略的部品、特に電気モーターの製造に必要な電機子や固定子の製造、部品の塗装、スチール/アルミニウム/マグネシウム部品の機械加工という、一連の活動で構成されています。
根強いリーン思考の文化とイノベーションを目指す強い意欲を特徴とする同社は、I4.0組立ラインを構築し、ロボットセルとのインタラクションが可能な専用の上部モジュールを搭載した、2台のMiR200ロボットを独自に導入することを決定しました。
DeWalt Industrial Toolsの工場責任者、Stefano Baldini氏は次のように説明しています。「インダストリー4.0の観点から今後数年間の水準を形成する組立ラインの構築に乗り出したとき、目標を達成するために最適なパートナーとしてMiRに出会いました。何よりも決め手となったのは、屋内ロジスティクスの問題を解決するよう設計された製品を既成概念にとらわれない用途に使用できることでした」
2台のロボットを導入したことで、ライン横の空間を最適化することも可能になりました。
組立ラインから組立セルへ
同社は、解体ハンマーの組立ラインに沿って180kgのパレットキットを移動する必要がありました。このパレットキットには、特定のハンマーを製造するのに必要なすべての部品が、固有のIDを持つ特別仕様で含まれていました。
DeWalt Industrial Toolsのプロセスエンジニア兼メンテナンスマネージャー、Francesca Ballerini氏は次のように述べています。「オペレーターの移動を妨げる、床置き型の搬送構造やその他の固定システムは構築できませんでした。リーンプロセス思考における「無駄」につながる取り扱い作業は可能な限り削減され、2台のAMRに割り当てられたため、セルのスタッフは製品の価値を高める活動のみに集中できるようになりました」
特に、パレットキットを準備するオペレーターは1名のみであり、MOMシステムで順に記載された活動が完了すれば、専用のHMIを通じてタスクの完了が確認できます。この時点で、システムは視覚機能を使用してパレットが完成していることや、部品が正しい方向を向いていることを確かめます。その後、最初のMiR200を呼び出し、任務を受け取ったMiR200は、準備ステーションからのロボットセル内へのパレット自体の搬送を一個流しの方式で処理します。
様々なシステム間での信号交換がシンプルであるため、素早い設置が可能であっただけでなく、1つのシステムから別のシステムへのパレット情報の不明瞭性を排除した正確な搬送が確約できるため、完全な製品トレーサビリティが可能になりました。
オペレーターはロボットセルを離れる際に、専用パレット上に配置された部品を使用して、特定のハンマーの電気システムを製作する必要があります。作業が完了したら、操作者はHMIを通じ、パレットが空であることをMOMシステムに伝達します。これにより、第二のMiR200への呼び出しがトリガーされます。MiR200は任務を受け取ると、パレットを準備ステーションに返却します。
Francesca Bellerini氏は次のように説明しています。「管理ソフトウェアは極めてシンプルであるため、パレット交換用のローラーコンベア付近にある補充ステーションへほぼ自律的に統合することができました。このため、作業段階での補充、待機時間と空間の最適化が可能となり、フリートを増やさずにAMRの稼働時間を延長することができます」
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インダストリー4.0の観点から今後数年間の水準を形成する組立ラインの構築に乗り出したとき、目標を達成するために最適なパートナーとしてMiRに出会いました。何よりも決め手となったのは、屋内ロジスティクスの問題を解決するよう設計された製品を既成概念にとらわれない用途に使用できることでした。
コンパクトな空間に収まるモバイルワークベンチ
ペルージャのDeWaltの施設への導入用途の特殊な性質と同様に、MiR200の導入で得られた大きなメリットの一つは、空のパレットを返却する途中で停止できるということでした。これにより、オペレーターが人間工学的に最も適した姿勢でパレットへ積載できるようになったため、AMRは真のワークベンチとなりました。一般的な用途ではないものの、柔軟性を保ちたい企業にとっては非常に高い価値があります。
2台のロボットを導入したことで、オペレーターの移動向けにライン横の空間を最適化することも可能になり、柔軟性と機能性を損なう固定設備を設置する必要がなくなりました。
Stefano Baldini氏は次のように述べています。「MiRの使いやすさと、あらゆる革新的なセルシステムとの統合、そして従業員との統合により、一見複雑な問題をシンプルで機能的なソリューションによって解決できるようになりました」
また、Stefano氏は、AMRとスタッフとの関係について次のようにコメントしています。「ラインオペレーターは当初、MiR200について少々懐疑的でしたが、これは通常、あらゆる技術的イノベーションで起こりうることです。その後、非常に使いやすいインターフェースを通じて簡単に使用できること、そしてその堅牢な安定性とシステムの安全性を理解し、今では作業設備の一部として欠かせないものとなっています」
バズワード:イノベーション
DeWalt Industrial Toolsは、システムインテグレーターのK.L.A.IN Roboticsによる多大なサポートを得て、革新的な用途のための導入を行うことができました。そして、オペレーターを搬送作業から解放して屋内ロジスティクスを最適化できるよう、自動化が必要な他の生産ラインとプロセスを処理するためのAMRを導入することを計画しています。
Stefano Baldini氏はこう結論付けています。「予定通りの投資収益率が確認できたことで、近い将来、2つの異なるバリューフローにおいてフリート拡大を選択することについて、検討する自信が得られました。今回は、製品の従来の使用法にさらに近づいたものです」
事実、同社は完成品を積載したパレットを生産ラインから出荷エリアに移動させ、倉庫と生産エリア間の搬送を自動化することで、AMR MiRのフリートを使用して組立ラインへの供給を行う選択肢について評価しています。