Denso

大手モビリティサプライヤーのDENSOは、米国テネシー州アセンズにある80万平方フィートのパワートレイン部品製造工場で、6台のMiR250ロボットを導入し、短期間で成果を実現しています。

倉庫と生産エリア間のパイロットプログラムは6か月で成果を実現し、6名の作業員が台車を押す作業から解放され、より付加価値の高い職務に移行できるようになりました。

このプロジェクトは、ジャストインタイムの効率を実現すべく、生産ライン横に部品を直接搬送するよう直ちに拡張されました。従業員の間でロボットに対する支持が急速に広まり、他部門の従業員も、メンテナンス用品やスペアパーツなどの物品を搬送するためのロボットの支援を求めています。

同社はまた、新規事業を見込んで5台のMiR500ロボットを購入しました。DENSOはMiRの世界最大の顧客の1社であり、米国の4拠点、ヨーロッパの3拠点、アジアの2拠点でMiRロボットが稼働しています。

ほとんどのメーカーと同様に、DENSOは効率と生産性を向上させる方法を常に模索しています。TIEエンジニアのTravis Olinger氏は次のように述べています。「一日中部品を移動させ、台車をある場所から別の場所に動かすために多くの人員を雇っていました。しかし、部品の移動だけでは、付加価値を生まない作業に従事させることになります。生産環境には、付加価値の高い作業に関する多数の求人が存在していました」

Olinger氏はこう付け加えています。「費用をかけて部品を移動させるのではなく、収益を生む部品を作りあげるために、人員を雇いたいと考えました」

調査によると、DENSOの従業員は生産現場と倉庫間で材料を搬送するために一日あたり最大12マイルを歩行し、勤務時間の約6割を台車の移動に費やしていました。エンジニアリングチームは、無人搬送車（AGV）は高価で柔軟性に劣るため、変化が激しくルートが定期的に変更される同社の環境には対処できないことを理解していました。また、狭い通路を通過することや、重金属部品を搬送することなどの課題も存在しました。チームは、MiRの自律型移動ロボット（AMR）を競合他者と比較してテストし、すぐにその性能に感銘を受けました。

MiR250は、REST APIが使用できることなど、大きなメリットをもたらします。

最近導入されたばかりのMiR250は、毎秒2mの移動速度、重金属部品を扱える250kgの積載量、狭い空間を移動する能力でチームを魅了しました。MiR250シェルフリフターとROEQ台車を標準化することで、DENSOは同じ台車ベースを使用する他のエリアに素早く拡張し、各用途に合わせてカスタマイズすることができます。

MiRロボットは柔軟性、安全性、使いやすさにおいて大きなメリットをもたらし、DENSOが持つその他の要件を唯一満たしていました。Olinger氏は次のように述べています。「MiRは、REST APIコールが使用できること、フリートの直感的な操作性、そしてマッピング、任務作成、位置変更の容易さにおいて際立っていました。当社が検討した他のプラットフォームと比べ、非常に直感的でした」

MiRパートナーのAdvanced Control Solutions（ACS）と提携することで、DENSOはREST APIを使用した情報フローを開発することができました。これにより、納期に合わせた配送の支援、充電と接近の合図の管理、任務の優先順位付け、フロアの従業員によるロボットの呼び出しができるようになります。DENSOはまた、MiR I/Oモジュールを使用してロールアップドアコントローラーに無線信号を送信し、クリーンルームエリアへの出入り用ドアを自動的に開けるためにロボットを統合しました。

ビジネスモデルとサポートの面で優れたMiR

Olinger氏は、MiRが企業として優れている点を次のように説明しています。「MiRは、DENSO North Americaとして、私たちが展開しようとしていた数字に合わせたサポート体制を整えていました。その他の企業は同じようなサポート体制を持たず、その経験もなかったため、対応できるとは考えませんでした」

Olinger氏はこう付け加えています。「情報を共有できる点は大きなメリットです。何かを購入するための単なるベンダーにとどまらず、MiRは当社と共に成長し、パートナーとなって、現在の拡張をサポートしてくれています」

MiRは、プロジェクトを長期的にサポートするスーパーユーザーとして育成されるDENSOの従業員などを対象とした、MiR Academyのオンサイトトレーニングを1週間提供しました。MiRはDENSO North America専用の担当者も任命し、MiRコミュニティサイトでDENSO用のグループを作成して、DENSOと月例ミーティングを開催しています。

スムーズな展開を確約するMiRとACSのサポートにより、DENSOは1日で初期セットアップを終え、ロボットは約1週間のテスト後、生産ラインに導入されました。その後、DENSOのエンジニアは、ほとんどの新規導入を自分たちで管理することができるようになりました。

DENSOのプロジェクトに対するROIの達成計画は通常2年未満ですが、MiRロボットによる搬送作業の置き換えにより間接的にコストが削減され、1年以内にROIを達成することができました。プロジェクトの開始から6か月以内に、DENSOはMiRロボットで点火系製品工場のすべてのラインを網羅し、6名の作業員を同社にとってより付加価値の高い業務に再配置することができました。DENSOはまた、従業員の意欲と労働効率の向上、全体的な効率の向上、プロセスの合理化に重点を置いた自動化の概念を通じた企業文化の変化を実感することができました。これは、エンジニアリングチームによる生産ラインの設計方法が大きく変化したことを意味し、部品をライン横に配送することを後から検討するのではなく、最初から主な検討事項として含めて設計を行っています。

Olinger氏は次のように述べています。「当社は2020年9月からMiRロボットを運用しています。それらのロボットは、これまで1日も休むことなく、50万以上に及ぶ任務を完了しています」